カテゴリー別アーカイブ: 商売のヒント

お客様を忘れさせない1枚の絵葉書


横浜にある、夫婦で営んでいる小さなインテリア販売会社の奥さんから伺った話です。
奥さん曰く、今年に入ってからリピーターが目立って増えたようです。
1月~6月までの半年間では、カーテンの取り付け工事件数が24件で約450万円となりました。

でも、昨年は月平均でたったの2件でした。
たまたまこの時期に注文が集中したのかも知れませんが、メーカーの情報によると、今年はどこも苦戦を強いられているそうです。
ましてや、横浜あたりは販売店が多く、激戦区で値段競争も激しい地域です。

「ウチは価格を下げると十分なサービスができなくなるから値段競争には一切参加しませんよ」と奥さん。

どうやら他店では、52%OFFの値引きをするところもあるようです。
一体、このような状況の中で奥さんはいかにして売上げを伸ばしたのでしょうか。

それは、たった1枚の絵葉書でした。

奥さんは、カーテンの取り付け工事が終わると、お客様に絵葉書のお礼状を出しています。
また、それとは別に、年に3回ほど柿やイチゴや招き猫など、その季節に合った絵葉書を送っています。
クリスマスの時期には、プレゼント付(抽選)にして。

たったそれだけです。

「値段で集まるお客は、値段で去って行くから最初から関わらないの」と奥さん。
先日もリピーターの方から「奥さんから届く絵手紙を見たら、また注文しようかなって思っちゃうよ」と電話があったそうです。

昨年と今年の違いを振り返ってみても、絵葉書を出したか出さなかったかだけです。
インテリアなどの住宅関係は特にそうですが、お客様は、基本的に一度でも関わった会社とズッと付き合いたいと思っています。
その方が安心だからです。

ところが、どこの会社もフォローが上手くできなくて、リピーター客を取り逃がしているのが現状です。

その点、この奥さんは、絵葉書を上手く使ってパイプをつないでいます。
「次はね、1人1人に3行ずつコメントを入れますよ。630人に」と奥さん。
やった者にしか分からない効果が表れる方法です。
いかに印象を残すかです。お客様は、放って置くと忘れてしまうものです。


最初のアヒルになるのは、だれ?


せっかく新しい社員を採用したのに、そのまま放って置きっ放しの会社が多いのではないでしょうか。
たしかに、電話の受け応え方やパソコンの入力方法については丁寧に教えますが、そんなことよりも今日が初出勤の新入社員が一番不安に思う瞬間は、最初の昼食のときです。

出社初日の新入社員は、右も左も分かりません。
お弁当を持参すればよいのか、外食だったらどこで食べるのか、だれもそんなことなど事前には教えてくれません。

正午。案の定、新入社員は目が泳ぎ出してうろたえます。

「お昼はどうするのですか?」とは、なかなか訊けません。
そんなとき、私の顧問先の営業部に籍を置くある課長は、見事にフォローしています。
彼は、うろたえる新入社員を目にすると必ず食事に誘います。
とんかつ、そば、カレーライスのうち1つを選択させるとお店へと向かいます。

2時間ほど食事をしながら目の前の若者の緊張をほぐすと、仕事の内容や社員一人一人のクセなどを面白く語ります。
そして、会計をする際は、あえて領収書はもらいません。そのとき新入社員は、決まって課長のすぐ後ろにピタッと立っているからです。
もらいたくてももらえないのです。。。

それから数年が経ち、当時の新入社員だった何人かが去りました。
課長は、最後も必ず一緒に食事をします。
そのとき最初に食べた、とんかつ、そば、カレーライスの話題にいつもなるそうです。
大げさですが「一生忘れません」と言う者もいたそうです。
みんな決まって数年前の“最初の食事”の話を昨日のことのように笑顔で話します。
彼らは、鮮明に覚えています。

新入社員は、アヒルのように最初にやさしくしてくれた人のことを、いつまでも忘れることはありません。

だから課長は、新入社員が初出勤するその日だけは、スケジュールを入れずに“最初のアヒル”となりました。
これが2日目でもダメです。困っているのは初日です。

どうでもいい些細なことのように思えますが、だれも気に留めない些細なことだからこそ、困っている相手の心には深く残るものなのです。


お客様が望んでいる本当の商品は、生きた情報!


私の古くからの知り合いに小さな家電販売店の社長がいます。
先日「社長の会社の商品って何ですか?」と訊ねました。
すると予想していた通り「パソコン」や「テレビ」や「冷蔵庫」という答えが返ってきました。

しかし、それはソニーのパソコンであり、パナソニックのテレビであり、日立か東芝の冷蔵庫なのです。
間違っても、そのお店の商品ではないと思います。
そう、そこにしかないサービスが、そのお店の商品なのです。
品物で差別化を計ろうとすれば、価格を下げるしかありません。
でも、そんな安易な手を打ったところで、自分のお店より大きな家電量販店に勝てるはずもありません。
小さな町の家電屋が生き残るためには、そこにしかないサービスを提供しなければ太刀打ちできません。

しかし、裏返せば、それさえできれば、どんな大手にも負けることはありません。
そう、量販店のような大きなお店は、商品を大量に仕入れて値段を大幅に下げることを、最初に考えるはずです。

そこで私は、知り合いの社長に「ハンディカムでキレイに撮影する方法」と「テレビの見方」という2つの取扱説明書を作るように助言しました。

そのお店だけのオリジナルの取説です。おそらく日本中を探しても、どこにもないと思います。
ましてや、それが「テレビの見方」ですから。

その結果、小さな町の家電屋でも値引きなど1円もしなくても、面白いようにビデオカメラやテレビが売れました。

お客様が望んでいたのは、数千円の値引きなどではなく、そのお店にしかない「生きた情報」だったのです。
そしてこれは家電販売店だけに限ったことではなく、どんな商売にでも当てはまるのではないでしょうか。
なにも難しいマニュアルを作る必要はありません。
たしかに、価格や、迅速な対応や、従業員の親切な接遇などもサービスの1つだと思います。
でもそれは、どのお店でもやっていることです。
お客様が本当に望んでいるのは、横並びのサービスではなく、そこにしかない「生きた情報」なのです。


税理士としての生き様 ~少年の日の思い出


別に彼は「だれかから評価をされたい」とか、「なにかの業績で認められたい」とか、そんな小さなことなど思ってもいません。
それは、私の仲間の1人の税理士のことです。
でも、ちょっと遠くにいる少年だけには、自分のことをよく見ていて欲しいと言いました。
その少年は今、中学1年生です。
3年前、少年が10歳のときに、両親が経営している町工場が倒産しました。
その処理をしたのが税理士の彼でした。

彼から聞いたこの話を、私は一生忘れることはできません。

町工場が倒産すると当然、社長夫婦とも自己破産です。
すると、不安に怯える社長が、毎日のように彼へと電話をかけました。
彼も忙しい中をぬって、2日に1度は顔を出しました。
彼は、完璧にヒーローでした。
無邪気な少年のその目に映った彼は、なんだか困っているお父さんや、うろたえるお母さんを助けてくれるヒーローでした。
悪い奴から守ってくれる仮面ライダーやウルトラマンやマジンガーZと同じだったのです。

彼は「私の世代のヒーローって、今の小学生には分からないよねぇ」と少し照れながら笑いました。
ある日、少年は、顔を見上げると「おじさんって、と~っても強いんだね」と目を輝かせて言いました。
すると彼も「そうさ、おじさんはスッゴク強いのさ」と手を腰に当てると高笑いをしました。

だから、負けられません。
名誉も地位もまったく興味のない彼が、このたった1人の少年のために、絶対に負けられません。 
だって、仮面ライダーがショッカーに負けてしまったら、番組は終わります。
番組の視聴者がたった1人だけでも、約束をしたおじさんは負けられない。

今でも、中学生の少年からは、ときどき電話があるようです。
両親の、その苦しそうな姿を見ていたからこそ、自分も将来は会社を興したいと言っているそうです。
そして、彼に「そのときは手伝って下さい」と。
だから彼は、少年の秘めたる想いを叶えてあげるまで、倒れる訳にはいきません。
私は、税理士としてのあるべき理想の姿を彼の生き様に見た気がしました。
そして私も、と~っても強いんです。


告別式に参列するのは、社長の仕事


ある小さな会社を営む初老の社長のお話です。

彼は、今までに数多くの告別式に参列したことがありますが、できる限り早く駆けつけるように心掛けています。
でもそれは、お得意様の告別式ではなく、お通夜にです。それも午後4時~5時頃に。
まだ業者が準備をしている最中のバタバタとやっているところに顔を出します。
一見、迷惑かと思われますが、当の喪主からしてみれば、これほど心強いことはありません。
30分くらい2人で亡き人の思い出話に浸ります。
大切な人を亡くした辛さ、不慣れな葬儀、そして、これからの事業への不安が一つに交錯しています。
ましてや、先代を亡くした若い2代目が喪主のときなどは、目に見えない不安と悲しみで震えていることが多かったそうです。

だから、できる限り早く駆けつけて共に時間を過ごすのです。
それから数年が経っても、当時の喪主は覚えていてくれます。

私も近しい人を亡くしたときに、同じような経験をしました。
目に入った情景や参列していただいた方々のことは、今でも鮮明に覚えています。
また、感謝しています。

それなのに時間がないからと言って、大切なお得意様の告別式に社員を”派遣”するような社長が残念でなりません。
たとえ、それが関わりの薄いお客Aであっても、その当人からすれば、会社を代表する者に参列してもらいたいはずです。

当然のことですが、人の気持ちが分からない社長に社員が使える訳もなく、また、それを間近で見聞きした社員たちも、本気で社長に従おうとはしません。
告別式に参列することは、社長の大切な仕事の1つです。
他のだれもできないことが、社長の役目なのです。

たしかに、経営計画や事業計画を立てることも大切ですが、それら全部を社長1人がやらなくても他にできる社員がいるかも知れません。
しかし、社長の代わりにお客様の告別式に参列することができる者など1人もいません。
お客様との縁の深さなど関係ありません。
亡くなった先代は、そのお客様のたった1人の父親です。
私も、この社長のお話を伺って、改めて自分の役割というものを今一度、見つめ直したいと思いました。


あるトップセールスマンの孤独


その男は38歳にして営業部長に昇進したトップセールスマンでした。
社長は、彼を溺愛していました。
数年後には、自分の跡を継いで社長になれと公言したほどです。
彼の部下は、約40名いました。その中に、いつもノルマが達成できない若い社員がいました。
社長は、その若い社員のことが嫌いでなりません。

ある日、朝礼で「数字を達成しない奴はクビだ!」と営業部の全員に向かって9月のノルマを掲げました。
それは、ほとんどの社員がクリアーできる数字でしたが、その若い社員にとってはかなり厳しいものでした。
明らかに1人をおとしめようとした数字でした。

営業部長は、社長に詰め寄りました。
彼の言うことだったらなんでも聞き入れる社長でも、今回だけは一切、聞く耳を持ちませんでした。

10月1日。彼は、社長室に足を運びました。
そして「1人だけ9月の数字を達成できなかった者がいます。いかがいたしましょうか」と社長に報告しました。
すると社長は「残念だが公約だからクビだな」と吐き捨てました。
「分かりました」と彼は白い封筒を社長の前に差し出しました。
「ん、なんだ?」と怪訝そうに社長が言うと「辞表です」と彼。

数字を達成できなかった1人とは彼だったのです。
数字を達成させるために1人の部下に付きっ切りだったのです。
困った顔の社長は「ちょっと待ってくれよ」と言いましたが、彼は「長い間、お世話になりました」と一礼をすると、社長室から去りました。
そして、二度と戻りませんでした。

今、営業部長だった彼とその部下であった若い男性は、一緒に会社を興し元気にやっているそうです。
いくら自分が愛されたところで、可愛い部下が足蹴にされれば空しいです。
それを社長に分かっていただきたいとの思いで、彼は、年収2千万円を捨てたのです。
その後、何度も社長から電話がありましたが、頑として聞き入れませんでした。
今までお世話になった社長を思ってこその行いだったのです。

自分だけ愛されればいいと思っている上司などいません。
あるトップセールスマンの孤独は、きっとどこにでもあります。


最初の正面 ~それが、会社の素顔


半年ほど前、まだ若い男性が置き薬を持って私の事務所まで飛び込み営業にやって来ました。
暑い日でした。
額に汗を掻き、足元は白いスニーカーでした。おそらく新人研修です。

私は「うちは○○薬品さんをとってるから」と言い、申し訳ないからと冷たい缶ジュースを1本手渡しました。

先日、その男性がひょこっと現れました。
彼は、半年前のことが忘れられず、またやって来ました。
どこに行っても門前払いにされたそうです。
しかし、この会社の人は優しかった。とっても嬉しかったと言ってくれました。

私は、経営分析や企業診断等では表れることのないその会社の「素」を知る方法をふと考えました。
それは、その会社の社員が作り笑顔で接することのない相手に訊ねれば分かります。
その相手とは、宅急便の配達員です。
どんな会社にも宅急便の配達員は伺います。
すると、その会社の最初の社員と目が合います。
そこでその社員が、どんな態度を取るのかがすべてです。
いくら社長が立派な人でも、最初に出会った社員が無愛想だったらどうでしょうか。
きっと配達員は、悪い印象しか抱きません。
どれだけ分厚い経営計画書を作ったところで、なんの意味もありません。

私は、ちょっと前に、お昼時を狙って近くにある宅急便の営業所に向かいました。
そして、そこから出てきた優しそうな男性に声を掛けました。
「どんな会社が多いのですか?」そのようなことを私は訊ねました。
すると、その男性は、雪が降っている日に熱い缶コーヒーを差し出してくれた人、会うたびに笑顔で「ご苦労様です」と声を掛けてくれる人、階段で会ったとき一緒に荷物を運んでくれた人のことをどれも嬉しそうな顔で話してくれました。
だから、それが、その会社の本当の素顔だと私は思います。
利益をもたらす人に笑顔を見せることなど中学生でもやります。

まったくの利害関係ではない人に見せる態度が、本当の姿なのです。
悪い印象は噂となって広がりますが、いい印象はいつまでもその人の心の中にズッと残るものです。
最初の正面が、その会社の素顔だと私は思います。


ダイヤモンドは、磨いてこそ価値が出る


あるスーパーの店長からお米の売り方を教えていただきました。
実は、そのスーパーもちょっと前までは、あまりお米が売れなかったそうです。
「こんなに美味しいお米なのに!どうしてお客さんは、もっとたくさん買ってくれないのだろうか?」店長は随分と悩んでいました。

そして、昨年の夏のことです。
店長は、1軒の古い喫茶店に入りました。
そのお店は、かき氷が美味しいことで評判でした。
はじめてそのお店に入った店長は、その種類の多さに驚かされました。
生イチゴや生バナナをふんだんに盛り合わせた上から濃厚なミルクが惜しげもなくかけられたものや、きな粉と黒ミツを混ぜ合わせた蟻でも糖尿になりそうな甘いシロップが滴り落ちるかき氷がズラッと並んでいました。
「これがかき氷?」と店長は漏らしたそうです。
お店の中は、若者たちで溢れていました。
喫茶店にコーヒーを飲みに来るのでもなく、カレーを食べに来るのでもありません。
わざわざ、かき氷を楽しみに来ているのです。
その値段は、600円から1000円を超えるものまでありました。

店長は、ふと思いました。
元は「水」なんだと。いくら有名な天然水を使用しているとはいえ「水」には違いありません。
それが、1000円で売れるのです。
生のイチゴや甘いシロップを使ったところで原価は知れています。
水を氷へ。氷を削ったらシロップをかけるだけです。元は「水」なんです。
いくらミネラルが豊富な美味しい水でも、「水」のままでは大して売れません。

ダイヤモンドでさえも原石のままでは、だれも見向きもしません。
磨いてこそ売れるものです。

今のカタチを変えなければと思いました。
新潟産のコシヒカリのままではダイヤモンドの原石と同じです。

もっとお客さんに身近なお米になるようにコシヒカリを炊きました。
それをおにぎりにすると白米の2倍の値段で売れました。
さらに、にぎり寿司にすると白米の5倍以上の利益をもたらしました。

いくら自分たちがいい素材だと思っていても、それが相手へと伝わらないことには1円にもなりません。
お客さんは素材ではなく食材が欲しいのです。


プロとベテランの大いなる違い


その会社は、欄間(らんま)などの建具を作るとっても小さな会社です。
その会社の社員の中に「この道40年」の頑固な職人がいます。
私は、仕上がったばかりの美しい欄間を目の当たりにして、思わず「プロですね、匠の技ですね」と漏らしました。
すると「いえ、ベテランですよ」と隣にいた社長が私に言いました。
社長は「うちにはプロは要りませんよ」と言うと、「必要なのはベテランだけですね」とニコッと笑いました。

そこで私は、プロとベテランの明確な違いを社長に訊ねました。
すると社長は、次のように言いました。

例えば、ある人が病院へ健康診断に行ったとします。
その人は「安心したい」から嫌々ながら行くわけです。
間違っても異物を見つけて欲しいわけではありません。
しかし、病院の先生方は一生懸命に探し出します。
異物をね。それがプロです。
とにかく血眼になって探し出します。
ところがベテランの先生と言えば、懸命に探しはするものの、その人が「安心したい」ということを十分に理解しています。
プロとベテランのその違いは、たったそれだけです。

やっている内容はまったく同じなのに、相手への気配りがあるかどうかです。
技術的な腕などほとんど変わりません。

つまりプロになるだけなら腕さえあれば、たった1年でもなれます。
でも、ベテランになるには少なくともそれまで生きてきた年数分は必要となります。
キレイに切るだけなら魚を三枚におろすのも盲腸を切るのも同じです。
腕がいいだけの職人なら、日本中にたくさんいます。

私は、深くうなずきました。

自分のことをプロと誇らしげに言う人はいますが、自分のことをベテランと呼ぶ人は少ないです。
もっと言ってしまえば、ベテランはいい腕などなくても構いません。
そこら中に散らばっているプロを上手に使えばいいわけだから。
お客さんは、決していい腕に集まるわけではなくて、そこにある目に見えない「安心」に集まるだけです。
きっと最初はいい腕に集まると思いますが、それだけだったらすぐに去って行くはずです。
プロと呼ばれる人は、上手に使われる一流の職人です。
そして、ベテランとはプロを巧みに操る一流の人間なのです。


社員が自慢したくなる会社


「今までもらったすごいプレゼントは、島、クルーザー、ビル、あとは油田」こんな話をさらっとしても許されるのはハリウッドのセレブくらいです。

自慢話をする人は基本的に嫌われます。
しかし例外もあります。

昨年の11月に創立70周年を迎えたその会社は、50人の社員全員にある記念品を渡しました。
あなたが社長ならどんな記念品にするでしょうか(ちなみに会社はちょっと儲かっています)。
ネットで「創立記念品」を検索すると、会社のロゴや「創立○周年」の文字が入った腕時計や置き時計、万年筆、クリスタルの盾など、どちらかと言えば会社側の満足を形にした品々がずらりとヒットしました。

さて、問題の会社が記念品に選んだのは、ドンペリ(ドン・ペリニヨン)でした。

社員50人に1本ずつ記念品としてドンペリを配り、社長は言ったそうです。

「これからクリスマスがあります。ちょっとした記念日でもかまいません。
大事な人とこのドンペリで乾杯してください」。

高級なお酒はいくらでもありますが、あえて通俗的なドンペリという選択に社長の粋を感じます。

お酒を飲まない人でもドンペリが高いことは知っているでしょう。

お酒好きでもサラリーマンは日常的にドンペリなど飲みません。
誰でも知っているけれど自分では買わない高級品。

しかも飲んだら終わりです。

記念品を見た社員たちは、「スゲー、あのドンペリだよ」とどよめいたそうです。
社長は最後に、「これを飲むとき、ちょっとだけわたしのことを思い出してくれると嬉しいです」と、あいさつを締めくくりました。天才的なセンスです。

その会社の社員が自慢げにこの話をしてくれたそうです。

「うちっていい会社だと思わない?」。

その場にいた人たちは口々に「俺もそこで働いてみたい!」と心底うらやんだそうです。
社長は、ドンペリと一緒に自分の会社を誇りに思う気持ちを贈ったのだと思います。

ドンペリ50本でいくらだったのかは知りませんが、その金額以上のものを社員は返してくれるでしょう。